あなたの初恋はいつですか?8【最終話】
「○○くんは私に何か不満とかある?」
いきなり意味深なメールが彼女から届いた。
僕「不満は特にないよ。なんで?」
めちゃくちゃ意識せずに返信したが、
今思えばこれが最後のメッセージだったのかなと思う。
女性は自分の意見を言いたいとき、
まずは相手に質問を投げかける。
そして、同じ内容の質問が自分に返ってきたとき、本音を言うのだ。
つまり、そこで意識して彼女の不満を引き出したり、
現状の改善ができていたら、結果を変えられたかもしれない。
いや、女性たるものそんなにやわじゃないか、
彼女の心はその時点で決まっていたように思う。
彼女「今お互いにとって、一緒にいないほうがいいと思うの。」
僕「おれが全然楽しくないから?」
彼女「違うよ、そんなんじゃない。やっぱり全然わかってないんだね。」
僕「わかってるけど、よくわからない。」
彼女「今までありがとう。またね(^^)」
こうして僕の初めての恋は、3か月持たずに終わった。
彼女の最後の言葉が”またね”だったのが、どうも引っかかる。
もう会うことがなければ、
”バイバイ”か”さよなら”というワードをチョイスするはずだ。
この”またね”の意味は後に理解することになる。
結局彼女は僕と別れてから、元カレと復縁したのか、新しい彼氏かわからないが、すぐに相手は見つかったようだ。
そして中学時代は10人ほどと付き合ったような噂も聞いた。
モテモテのマドンナというか、小悪魔というか、魔性の女というか、
彼女の将来に期待しよう。
僕自身が、この初恋を通して学んだことは2つ。
1つは、女の子は真剣なアプローチに弱いということ。
チャラ男が好きとかスポーツマンガ好きとか関係なく、一途で献身的なアプローチに心を打たれて好きになる傾向にあるということ。
でも、だからといって、ストーカー一歩手前のアプローチはやめていただきたい。”しつこい”と”一途”には天と地の差がある。
ここらへんは空気を読むセンスというか、難しいからまた今度詳しく解説していきたい。
ただこれだけは言える。
ダメなときは何をやってもダメ。
諦めてほかの女の子にいきましょう、ってこと。
2つ目は、女子同士は男子が思っている以上にツーカー(お互いの情報を細部まで共有し合っている)ということだ。特に恋愛面においては。
だから、注意していただきたい。昨日話した内容も、どんなアプローチをされているかも、どんなプレイ内容かもすべて女子ネットワークでは公開されている。
そのような意識をもって恋愛に取り組んでほしい。
コンプライアンス遵守だ。
同じコミュニティ内で手を出すのだけはダメ絶対!
きみのキャリアが水の泡になる。
最後に、あなたの初恋はいつですか?
思春期の多感な時期に経験した恋愛は、
自分が思ってるより、
自身の恋愛観に大きな影響を与えている。
そこに、自分のアイデンティティのヒントが
あったりするかもしれない。
そして、これから恋をするみなさんへ。
大いに傷ついて、喜んでほしい。
どんな経験もきっと、
将来あなたを救う”宝物”になるから。
あなたの初恋はいつですか?7
「公園は、、デートではないかな。。笑」
そう彼女は笑ったが、僕の提案にケチをつけることはなかった。
12月の寒い中ベンチに座ってたくさんのことを話した。
授業のこと、友達のこと、部活のこと。
彼女「じゃあ一番怖い動物は?」
僕「(んー人間かな、って言ったらきっと変な空気になるな)
えっと、ライオンとか?」
彼女「わかるー!
ライオン赤ちゃん可愛いけど、
大人のライオン怖いよね」
なんて、女子との会話において、空気を読むことを覚えた。
女子には、彼女らの身の回りにあるものを話題にしてあげると喜ぶ。
よく関心があるし、具体的でイメージしやすいからだ。
たとえば、服とかアクセサリーとか。
「似合う」「センスいい」と言って褒めてあげるとなお良い。
あとは、友達や家族など身近な人間関係とか。
一方、政治経済、スポーツに関するニュースを喋ってしまうと場が凍る。
「え、なにそれ、可愛いの?」って感じで不思議そうにこちらを見つめてくる。
そのリアクションを見るのも面白かったりするけれど。
だから、まずは可愛いものを見て、
「可愛い」と言えるような感性を磨けたら、
もうモテはすぐそばに来ているはずだ。
逆に好きな男の子にモテたかったら、
その男の子の好きなジャンルについて調べて、
彼らの話を楽しそうに聞いてあげられたら、イチコロさ。
僕が彼女に唯一あげたのは、クリスマスプレゼントのさくらんぼのキーホルダーだ。
500円しなかったかな。
ショッピングモールの女の子たちがごった返す中へ、
男子一人勇敢に立ち向かって、
彼女に一番似合うものを見つけ出してあげた。
彼女からは、少しいいハンカチをもらった。
「1000円したの」って言われて差し出した手がちょっと震えた。
やばい、500円だったとは死んでも言えない。
プレゼント交換時の金額設定については
あらかじめ事前に決めておこう、とそのとき心に誓った。
最近の子供はませてると言われるけれど、
僕らは手をつなぐことさえしなかった。
なぜなら、ただ話しているだけで、
こんなにも幸せなんだって感じられたから。
それ以上求めたらバチが当たるってね。
最も当時の僕にそんな恋愛スキルなかったし。
でも実際彼女は物足りなかっただろうなって思う。
なんせ、「恋空」見てる女の子だからね。
そして、恋の終わりがいつも突然訪れる。
そういう風に相場は決まっている。
あなたの初恋はいつですか?6
伝説の告白から2週間が過ぎようとしていた。
彼女とは(正確にはこの時点では彼女ではないが)自然に目を合わせるというルーティーンを日課として楽しんでいた。
そんなある日の夜、一通のメールが届いた。彼女からだった。
彼女「こんばんは!部活お疲れ様(*^^*)
たくさん待たせてごめんね。彼氏と別れたよ!」
僕は最初よく意味が分かってなかったが、
別れたというのは”その場でバイバイした"という意味ではなく、
"交際を解消した"という第二の意味があったのだ。
僕「じゃあ、付き合えるってこと?」と訳のわからないつまらん質問に
彼女「こんな私でよければ、お願いします(*'▽')」とベストアンサーを返してくれて交際がスタートした。
こんなことがあるのかと思うほど、怒涛の展開だったし、今思えば、無茶苦茶だ。
中学生の分際で略奪みたいなことをして、倫理的に問題がありすぎる。振られた彼氏のことを思うと不憫でならない。
まあ、自分がしたことは後できっちり自分に返ってくるってことで。そこからの付き合いもバラ色で毎日楽しい!っていうわけにはいかなかった。
まず、ませてる中学生の女子は、恋愛において英才教育を受けている。よって、その世界観で学んだ知識を、全力でこちらに投げかけてくる。あなたはどう思う?って。こちとら、スポーツと勉強とゲームくらいしかしていないので、「んー、どっちでもいいな」なんて言おうものなら、「わかってないなー」と不貞腐れて失望されてしまうのだ。
よくデートに行きたいと言われた。僕は平日は部活、休日は塾の特別講習で、忙しいからまた今度ね、なんて後回しにしてばかりだった。あれ、この構図って社会人になった今でも意外と変わってなかったりして。。つくづく成長しないものだ。
彼女としては、おしゃれをして、いろんなところに連れていってほしかったのだろう。立派な一人前の女性である。恋愛初心者の僕とは経験値の差がありすぎるわけだ。楽しくスライムを倒していきたいと思ってるのに、いきなり中ボスが登場してボコボコにされるドラクエの主人公みたいだ。
そんな中で何度かがんばってデートに誘ったことがあった。
そう、みんなの味方、公園である。
あなたの初恋はいつですか?5
僕「彼氏いたんだ。。
ごめん知らなかった。。」
やってしまった。人生最大の汚点だ。
今まで舞い上がっていた気持ちが、富士急のジェットコースターばりに急降下していく。少し冷や汗をかいて。
完全にリサーチ不足だ。中学生の身分で何三角関係なんかやってるんだ。
彼女「そっか。でも気持ちは嬉しかったよ。
こうしてメールできてるのも新鮮だし楽しい!」
僕は思った。彼氏持ちの女の子にラブレターを書いて告白し、
情報不足甚だしく、後から彼氏持ちという事実を知って、
何事もなかったかのように一目散に逃げていく男。
そんなやつ、かっこ悪すぎる。
明日の新聞の記事になってもおかしくない。
世界中が僕を嘲笑うだろう。
思考をシンプルに戻そう。僕は彼女が好き。
その気持ちを伝えたい。ただ、それだけ。
結果がついてこなくてもいい。こうなったらダメ元だ。
潔くそして意思を貫く。
僕「でも、彼氏がいるってわかった今でも、
好きな気持ちは変わらないよ。
幸せになら嬉しいけど、
もしそうじゃなかったら、
僕のほうが幸せにできると思う。」
彼女「ありがとう(;_;)
私も○○君をいいなと思ってたのは本当だから、
一回考えておくね。時間かかるかもだけど。」
我ながら、当時中学2年生でよく言ったと思う。
やはり、得意分野の文章だったら、きちんと整理して自分の思いを伝えられた。
それにしても、彼女のほうも彼氏という存在がいながら、
他の男をいいなと思ってるって。。今考えたら小悪魔なのでは?
とまた違った価値観で分析するほど、大人になってしまった。
しかし、当時はその事実で、味わったことのない高揚感を感じた。
好きな人に好意を返してもらえる、
そんな素敵なことってこの世界にあるんだって思った。
文字通り、見える世界に”色”がついた。
そこからというもの、毎日は彼女一色になった。
付き合っているわけではないけど。
一番わかりやすいのは、目が合う回数が一段と増えた。
よく「目が合うだけっていうのは本人の勘違いで、
意識してたくさん相手を見てるから、よく目が合うように錯覚するだけ」
と茶々を入れる人がいるが、そんな声は無視していこう。
なぜなら、彼女とはメールで好意を確認済みだからだ。
よく女性が「好きって言って」という意味がよくわかった。
同じ発言・行動でも好きの裏付けがあるのとないのとでは、
受け取り手の感じ方は雲泥の差が生まれる。今回の件で勉強した。
愛とは、伝えてはじめて意味を成すものである。
あなたの初恋はいつですか?4
告白という偉業を達成した満足感と、イベント沸き立つ女子たちの空気感に、僕はへろへろになって家に帰ってきた。
今回の目的はあくまで、自分の気持ちを彼女に伝えること。それができたのだから、もう何も期待することはない。不思議と、胸につかえていたモヤモヤもすっきりしていた。
♪てーててれててれってってててーてててー♪
そのときケータイにメールの着信があった。今の中学生にはわからないかもしれないが、当時の二つ折りのガラケーだ。
もし、迷惑に思われていたらどうしよう。。いや実際、ほとんどまともに喋ったことない男子から告白なんて、迷惑以外の何ものでもないような。。
おそるおそるメール画面を開く
「件名:○○くんへ
こんばんは♪
もうごはん食べ終わったかな?
今日はとってもびっくりしたよ!でもありがとう(*^^*)
いつごろから好きでいてくれたの?」
めちゃくちゃ嬉しかった。飛び上がって喜んだと思う。
まだ返事は聞けていないけど。
こうしてメールでやりとりできるだけで幸せだった。
僕「返信くれてありがとう!
びっくりしたよね笑
でもどうしても気持ちを伝えたくて。
好きかもって思ったのは
同じクラスになってある程度経ってきたあたりかな」
彼女「そーなんだ!嬉しい(o^―^o)
実は私も○○くんのこと、
少し前からいいなって思ってたよ」
僕は前世で何か良い行いをし続けていたのであろうか。
初告白した相手に行為を受け取ってもらい、そして自分のこともいいなって思ってくれているという事実だけで、三日間ごはん抜きでも生きていけそうだった。
それぐらい舞い上がっていた。
次の瞬間までは。
彼女「でもごめん。
付き合えないの。」
え、
彼女「あれ、知らなかった?
私、今彼氏いるんだよ」
あなたの初恋はいつですか?3
人間、自分の強みを活かして生きていけばいい。僕は常々そう思っている。苦手を頑張って克服していくのも素晴らしい。でもその時間を得意なことに投資したならば、どれだけ自己成長し、まだ見ぬ世界へ進めるのだろう。
そんなことを思いながら、直接告白できない自分を肯定するのであった。
僕は上手く言葉で自分の気持ちを伝えられない分、文章で、丁寧な文字で思いのたけを伝達することには自信があった。これで振られたとしても、後悔はない。
今考えたらよくやったなと思うが、この時点でまだ彼女と二人きりで話したことはなかった。中学生の恋愛あるある?社会人になった今考えたら、そんなに喋ったことない人から、いきなり告白されても驚きしかないはずだ。あるいは恐怖か。ある意味勇者だ、当時の僕は。
「○○さんへ
突然ごめんね。
でも、伝えたいなと思って。
ずっと○○さんのことが好きでした。
よかったらメルアドに返事くれたらうれしいです。
○○○○○○.web.co.jp 」
よし、書けた。ちょっとシンプルすぎるけど、伝えたいことは一つなんだ。それが伝わればいい。あとはどういう風にこれを渡すか。
僕には秘策は、
なかった。
次の日、ちょうど1時間目の授業が終わって、「起立、礼、着席、ありがとうございました」をしたと同時に、意を決して彼女のいる席へと歩き出した。
誰かと喋りだしていたらどうしようと一抹の不安を抱いたが、その瞬間彼女は一人で教科書を眺めていた。
「... あの、これ。。」
不器用にそう発したあと、昨日書いて折りたたんだラブレターをちょこんと机に置いた。ちゃんと手紙の外側に「あとで読んでね」と、暗に一人で読んでほしいことを明示しておいて。
めちゃくちゃ緊張していたと思う。彼女の不思議そうな顔を一瞬見て、恥ずかしさがMAXになり、その場から逃げ出した。次の授業が教室移動する科目だったから助かった。
その移動中の廊下で女子2人の甲高い声が聞こえた。
「えーー!それ告白じゃん!」
やれやれ、どうやら女子とは感情を共有したい生き物らしい、とそのとき理解した。
「え!告白だってそれ絶対!」
廊下に響き渡る声。
穏便に物事を進めたいという、僕の思惑とは逆方向へ事態は展開していく。
イベント発生に歓喜する女子の気配を背後に感じながら、
顔を真っ赤にして僕は廊下を歩くのであった。
あなたの初恋はいつですか?2
あなたの初恋はいつですか?2
「○○くーん、ちゃんとお皿並べて!ぼーっとしてないで!」
その日は給食当番で、僕が皿を並べて、彼女がその上に料理を盛るという役割だった。昼過ぎになると急に学校に飽きて、上の空になるという現実逃避の時間を設けていたが、このタイミングはまずかった。サッカーでいうと、試合が始まるってのに、いつまでも審判がボールを抱えているようなものだ。中学生といえど、仕事はまっとうしたい。
まだこのころはSMなどには目覚めてなかったが、やはり好きな子から叱られるのはいいな。普段女子と接点がないから尚更味わいがある。
テニス部だった彼女は、いつもグラウンドで素振りをしていた。「そーれ」という掛け声は、気合いを入れるために発声しているのか、僕たちの気を惹くためにしているのかわからないほど、無駄に甲高く可愛かった。
野球部の練習中も背後のテニス部を意識して、チラチラと背中で、できる男感をアピールしていたな。たぶん100%伝わっていないと思いながら。たまに、ボールがテニスコートの方に転がってしまって、拾いに行くと君は思いっきり投げ返してくれたね。そのときのフォームがとてもツボだった。いい意味で可愛くない、一生懸命さも魅力だ。
冬が近づいてきたころ、急に胸が苦しくなってきた。ストレス性の心臓発作か?この若さで。そんな心配をしながら学校で君を眺めていた。さらに動悸は激しくなっていった。どうやら病気の原因は君のせいらしい。
中学生の僕はこう考えた。この悩みは勉強や部活とは違う。今までたいてい自分が頑張れば、努力の方法が間違っていなければ、順調に成果が出て、そんな自分に満足できた。でも、今回は違う。一人では解決できない問題だと察知した。この気持ちを君に伝えなきゃ。気持ちを伝えることで感情のモヤモヤが晴れるし、何より君がどう思っているのか知りたい。ただ、それだけだ。
よし、告白しよう!
でも対面はやめよう。なぜなら僕は、女の子を目の前にすると、うまく喋ることができないから。せいぜい「うす」くらいだ。ちょっと今日話があって.....「うす」ってそんな新手の告白あってたまるか。女の子からしたら、恐怖以外の何ものでもないだろう。大人になった今考えたら面白いが、当時は失敗できない状況下で手紙という選択肢を選んだ。
そう、ラブレターだ。
あなたの初恋はいつですか?
僕の初めての彼女は、中学2年生のときにできた。
当時はコブクロやAquaTimezが流行っていて、
音楽番組がある日はテレビの前に張り付いて観たものだ。
映画だとちょうど”恋空”が大ヒットして、
ませた女子たちはみんな、三浦春馬に恋をしていたようだった。
クラスで冴えない僕は、入学してからというもの、
恋のチャンスが訪れるわけもなく、部活に熱中していた。
帰りに野球部の仲間と、今後の日本の展望だとか勉強することの意味とか
よくわからないうんちくを語り合って楽しむ日々。
完全にモテる要素が一つもなくて笑える。
よく野球部はモテるというが、モテるのはイケイケでクラスの真ん中で転げまわるようなやつで、こっちには一度も”打順”は回って来ない。
だいたい、坊主に近い短髪で勝負しているんだ。
おしゃれなパーマや髪色の、サッカー・バスケ軍団に勝てる見込みはない。
女の子たちに目を向ければ、それはもう恋への憧れが、内側から外側から溢れていて、近寄りがたいほどだ。恋愛ドラマや恋愛映画、そしてケータイ小説。あらゆる媒体から恋愛を切り取って搾取する天才かと思ったほど。
男子がスポーツやアニメ、ゲームに必死になって精を出している中、
彼女たちは一心不乱に恋への意欲を見せ、成長していく。
常に僕らの一歩先を進んでいる。そりゃ、追いつけるわけないよ。
男子がようやく恋に目覚めるその頃には、
「恋愛と結婚」は別とか言い出すんだもん。理解できるはずもない。
そんな中学時代の僕の最初の恋愛、初恋の子は、
魔性の女になる才能があるような特別な魅力を持った子だった。今思えば。
見つめられると吸い込まれそうになる。
見るたび心が不思議な気持ちになる。
そんな瞳をしていた。
イメージは篠田麻里子風だけど、もっと不思議な黒目だったな。
当時の僕が、クラスで女の子と話すときといえば、
プリントを配られるときくらいだ。
前の席の女の子が振り向いて、紙を渡してくれるタイミングで「うす」と言う。
完全に変質者だ。ただ、僕だって、クラスメートに対して礼儀を重んじていたので、「うす」という独自の挨拶だけは、きちんと徹底していた。
彼女とは、なんかのタイミングで同じ班になったのだと思う。
誰にでもフレンドリーに接してくれる親切な対応に、落ちた。
理由はそれだけで十分だった。
モテない男ってのは、95%の勘違いで構成されている。
ぜひ、女性の皆さん、彼らにはビジネスライクに接することを心がけてほしい。
「○○くーん」
急に、彼女から名前を呼ばれた。
【驚愕】ついに出会えた、LINEのID検索で!?11【最終話】
【驚愕】ついに出会えた、LINEのID検索で!?11【最終話】
僕「どんな人がタイプなの?たとえば、おれとかはあり?」
まな「んーなしだね。ごめんなさい笑。」
僕「おい、待てよ、おれが勝手に振られたみたいになってるじゃんか笑」
まな「みたいというか実際はっきり振られてるけどね笑」
僕「なんだよ笑可愛くねえな笑」
こうして僕の数時間前に生まれた恋は儚く散った。
まな「私の理想はね、まずイケメンで身長175センチ以上で、年収800万以上でマザコンじゃなくて浮気しなくて、、、etc」
僕「いるかそんな男!笑 理想が高すぎんだよまったく。美人になったからって調子に乗らないこと!」
まな「でも好きになれないんだもん。」
僕「まあわかるけど、整形してきれいになって見えた世界が想像とは違ったように、理想の人と付き合っても、それが本当に自分の描いた完璧な世界なんてこと少ないと思うよ。理想が高いって結局自分に足りない何かを埋めたいだけで、まずは本当の自分を好受け入れて好きになっていけば、また見えてくる世界が変わってきて、許容範囲が広くなるんじゃないかな?」
まな「うん、そうなんだけどね。がんばってみる、でもイケメンは好き!」
僕「やかましい笑」
そこからまた色々話して、彼女のことをまたいいなと思った。(振られ済みだけど)
女心の複雑さと可愛さや美しさだけで幸せになれるほど、女の世界は甘くないってことを学んだ。
ぐっすり寝ておきたら、もうチェックアウトの時間だった。
彼女は眠そうに目をこすりながら、支度をしてこちらに合図を送る。
僕も数時間前には彼女と関わりがなかったことを信じられないくらい、お互いのことを話して理解できたように思う。
心なしか彼女の顔も数時間前より凛としていて、何か心のモヤモヤが晴れたような、そんな内面から出る美しさを、僕は感じた。
ホテルを出て駅に向かい、途中のコンビニでサンドウィッチを買って、半分ずつ彼女と食べながら歩いた。
彼女はJR、僕は東京メトロ。
別れ際、最後のジャブを打ってみた。
僕「今日はありがと。たくさん話して楽しかったし、まなちゃんにめっちゃ興味持てたよ!よかったらまた会わない?」
彼女はニコッと笑ってこう答えた。
「もういいかな!また会っても経験人数増えないし!」
先ほどのサンドウィッチが変に口の中にまとわりつく。
僕はコンビニへコーヒーを買いに、またラブホテルの方向へ歩いていった。
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僕「人間の本質は変わらない、、じゃあまなちゃんはきれいになったけど、心は、太ってて可愛くなかった頃のままってこと?」
まな「そうだよ。可愛くなれたからイケメンの彼氏と付き合えたけど、結局自信がないんだよね。今まで可愛いって言われる機会なかったし、本当にそう思ってるのかなとか、もっと可愛い子はたくさんいるしとか。自分でもなんでこんなめんどくさいのかなって思うけど、頭でわかってても止められないの。」
「整形前の写真見る?」
僕「え、このタイミングで?笑 うん、見たい。」
彼女は「あるかなー、もう何年も前だからデータ消えてるかも」と、自分から言い出したのにも関わらず、見せるのをためらうような億劫な態度でスマートフォンをスクロールしている。
「あ、あった!」と嬉々として見つけたその写真を僕に「ほら、全然違うでしょ笑」と見せつける。
そこに映っていたのは笑顔で細い糸目をさらに細くした豚鼻の14歳の少女だった。
たしかに太っていて、今の彼女とは別人だ。どう見ても何回見てもイメージが違いすぎる。
「ほら、こうやってやるとビフォーアフターがわかりやすいよ」と整形前の14歳の写真と整形後の美女の写真を交互にスワイプするという、彼女にしかできない遊びを披露してくる。
僕「いい持ちネタあるね笑」
まな「整形者の特権ですから笑。」
僕「なんだろ、おれ今までの人生で出会ったことない子だからめっちゃ常識を覆されてるよ笑」
まな「でしょうね笑。経験人数を増やしたいってのも、こうして裸を見せる機会を作ることで、きれいな体をキープしたいって思いもあるからやってるのよ。」
「実際セックスあんまり好きじゃないし笑」
僕「え!好きじゃないんだ!?てっきりよほど好きなのかと、、笑」
まな「んなわけないでしょww女の子で誰彼構わずヤリたいなんて子そうそういないよ笑」
「でもやっぱり好きな人とはしたいって思うかなあ」
僕「そーなんだ。やっぱり好きな彼氏じゃないとそういう感情にならないもんなんだね。だからいい女になって元カレとまた復縁したいなって思うんだ?」
まな「復縁はしなくていいかな。好きだったけど、クズってわかってるし」
僕「じゃあなんでこの”経験人数増キャンペーン”を続けてるの?さっき言った、きれいな身体でいたいってだけ?」
まな「うーん、そうだね。手段を追求しすぎて目的を見失った典型的なパターンかな笑」
僕「なんだそれ笑 じゃあもうだれか好きな人見つけて、好き合ってその人とセックスすればよくない?」
まな「うん、一応、それもこの”経験人数キャンペーン”の目的の一つなんだけどね。なかなか見つからなくて。」
僕「どんな人がタイプなの?たとえば、おれとかはあり?」
【驚愕】ついに出会えた、LINEのID検索で!?9
どこを整形したのか、どういう理由で整形したのか、いつ整形したのか、聞きたいことは山ほどあったが、彼女が順番に話してくれた。
まな「実は中学生のころめっちゃブスでさ、しかも太ってて。クラスの可愛い子見てうらやましいなーってずっと思ってたんだよね。」
「それでいじめじゃないけど、男子からブスとかひどいこと言われることもあったりして。」
「でもそんな私でも好きって告白してくれる男の子もいたんだ。すごいよね?笑私が男だったら絶対付き合いたくないもん笑。」
「で付き合ったけど、全然好きになれなかったんだよね。ブスの私が言うのもなんだけど、その男の子全然かっこよくなくて、笑あー私って彼氏ができたとしても、一生このレベルの男しか付き合えないんだって。」
僕「え、ひどくない?笑」
まな「わかってる笑。しかもブスのお前が言うなってね笑。 でも、本能だもん、好きになるって。好きと嫌いだけは理性で決められないんだよ。だから、お母さんに言ったの。”整形させてください”って」
僕「え、中3で?お母さん何て?」
まな「”わかった。いいよ。可愛く産んであげられなくてごめんね”ってよく理解してくれたよね笑。娘の私でもいいお母さんだなって思う。」
僕「まじか!笑 いいお母さんではある。。それで整形してどう変わった?」
まな「整形したのは目と鼻だけだから20万いかないくらい。でもダイエットは頑張ったよ笑。それで高校1年からは周りの男子からの扱いが変わったね。やっぱり外見って大事なんだなって。きっとデブでブスのままの私だったら、まったく違う高校生活だったと思う。」
「で、それなりに可愛くなったから彼氏もできて楽しかったんだけど、やっぱり上には上がいるんだよね。最初から、生まれた瞬間から可愛い子って、全然オーラとか自身が違うわけ。デブスだったころは”彼女たち”って遠すぎる存在で気づかなかったけど、ある程度近づくとわかるの。あ、生まれ持ったものが違うなって。それは外見の美しさもそうだけど、やっぱり自信が一番違う。私はここにいるのよ的な。わかる?」
僕「うん、なんとなくね。おれも目立たないほうだったからイケてる男子たちを遠くから見てきたけど、いい意味でも悪い意味でも”許される存在”って自分で理解しているから、積極的に行動できたりするんだと思う。しかもそれが女子の世界になるとより顕著だろうね。」
まな「そう。”許される存在”って思えるのって育った環境に依存すると思ってて、やっぱり可愛い子供には何かしてあげたいじゃない?大人の本能として」
「だから彼女たちはとても生き生きしてた。私がお金と努力で手にした美を生まれた瞬間持ってるんだから笑。」
僕「世の中って理不尽だよな。。笑でもそのおかげでイケメンの彼氏と付き合えたんでしょ?」
彼女は寂しげに遠くを見つめた。
まな「でもね、人間の本質って変わらないの。」
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僕もシャワーを軽く入るつもりが、間違えて頭まで洗ってしまい、彼女に笑われた。
どうやらラブホテルでシャワーに入るとき洗うのは、体だけでいいらしい。
二人でベッドに横たわる。
僕「元カレのこと、忘れられない?」
まな「そりゃ簡単にはね。大好きだったし。でもホストだったから、将来性はなかったかな笑。」
僕「ホストだったんだ!そりゃモテるよ!やっぱりモテる男に惚れられたいもん?」
まな「いやーそういうわけでもないんだけどね。自分が好きになったら、その人がモテるかどうかなんて関係ないよ。」
僕「でも、モテない男は最初から眼中に入ってないじゃん?笑」
まな「んー、そうかも笑。」
僕「女って残酷だな笑。」
会話が途切れたので、軽くキスをする。
少し薄い唇は思ったより柔らかく、優しい香りがした。
女性は頭を撫でられるのが好きという情報を入手していた僕は、
キスをしながら彼女の髪を優しく、ゆっくりと撫でてあげた。
軽く頬を触ろうと手を下に移動させると、
まな「眉毛は触らないでね。消えちゃうから。」
と切実なアドバイスを頂戴したので、顔の上半分には極力触れぬよう注意をして、首筋へと進んでいく。
彼女の肌は白い。そしてきめ細やかにすべすべだ。
これは動画の中では味わえない、貴重な感触だ。
胸や下半身に手を進めていく。
彼女は人形のように抵抗なく、ときには吐息を交えて僕を受け入れてくれる。
彼女の中は、率直に言うと、今までで一番気持ちよかった。
そう思えた子は、彼女が初めてだった。
これが僕の、ある意味では本当の、童貞卒業だったのかもしれない。
行為が終わってからたくさん話をした。
今回初めてセックスで気持ちいいと思ったこと。
彼女の肌、身体はきれいでまるでAV女優のそれ以上だと。
彼女は「大げさだよ」と笑っていたが、きっと喜んでいたように思う。
やはり、誰かに褒めてもらえるのは、嬉しい。
人間の本能だ。
”こうやって大切な人の承認欲求を満たすことって幸せなんだ”
ってそのときふと思った。
最も僕たちは出会って間もない関係だけど。
出会い方なんてどうでもよくて、そこから二人がどうやって関係を築いていくかのほうが、よっぽど大切だよなって思ったりもした。
まな「私整形したんだよね」
余韻に浸っていたぼくは彼女の声で我に返った。
僕「え、整形?」
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【驚愕】ついに出会えた、LINEのID検索で!?7
僕はこれまで、セックスを気持ちいいと思ったことがなかった。
一人でするほうが気持ちいい、と言ったほうが的確か。
童貞を卒業したのは、2年前くらいで、それから何度か経験しているが、
マスターベーションを超える快感は、まだない。
よく、中高生のころはセックスに憧れしか抱いてなく、
「どんなものなんだろう」
「女性の身体はどんなに素敵なんだろう」
などとあらぬ妄想で時間を最大限有意義に過ごしてきたわけだが、
いざ、目の前にエサを与えられると、
「自分が本当にほしかったのは果たしてこれなのだろうか」
と謎の哲学的迷路に入り込んでしまって、行為自体に集中できないことが多かった。
まあ、女性自体も人間なのだから、いくら可愛く見繕ったって、糞はするし、おならも出るし、ムダ毛も生えるし、便秘のときは息が臭くなる。そういった現実を、まだ鼻たれ小僧の僕は、受け入れることができていないのかもしれない。
これは全責任を押し付けるわけではないが、アダルト動画の身近さとそのクオリティの高さに起因していると思う。女性に高い金を払ってエスコートせずとも、無料で、今の自分の欲に最適な顔、スタイル、シチュエーションの女性を取捨選択でき、言い方を変えれば、そこは自分の独裁国家となる。男にとって、そんな居心地のいい場所は他にない。
女性から振られることも、拒否されることも、キモイと言われることもない。ノーリスクハイリターンの投資である。そんなオアシスに約7年以上も安住していた僕だ。現実の女性の良さがわかるわけない。
「タダが一番高い」と言われるが、無料できれいな女性の裸にアクセスできるような環境のせいで、本来喜びを感じるはずの生身の女性に興奮できない。
童貞のころは気づかなかったが、これは、大きなリスクである。
なぜなら、人類滅亡まであるから。
だから、僕は今日、ちゃんと”彼女の身体に興奮する”、という裏テーマがあった。
本来の”生身の人間”へと生まれ変わるチャンスだという意気込みで。
まな「タオルある?」
浴室から湯気と共に女の子の声が響いてくる。
僕「あるよ。ちょっと待って」
洗面台の下にある、白いふかふかのバスタオルを持って浴室のドアを開ける。
まな「きゃっ!見ないで!」
タオルを勢いよく取られた僕は、浴室のドアをバタンと閉められ、立ち尽くしていた。
なんというか、ドラマでよくあるシーンだと思いながら、
やっぱり裸を見られるのは恥ずかしいよな、なんて当たり前のことを、彼女を通して確認する。
1人で大きなダブルベッドに腰かけた。
これから僕は、”生身の彼女”とセックスする。
【驚愕】ついに出会えた、LINEのID検索で!?6
【驚愕】ついに出会えた、LINEのID検索で!?6
池袋東口。渋谷、新宿と並んで若者が集う3大都市の1つだ。
西口にはマルイ、芸術劇場や立教大学。東口にはサンシャイン、PARCO、風俗店、ラブホテル。。
(なんでこんな性に乱れてるんだ!この街は!)
時刻は19時。待ち合わせのラブホテルへ向かう最中、冬の足音がする季節に、キラキラした看板が、これからの僕の行方を祝福してくれているようだ。
普段池袋に行くときはサンシャイン通りで大抵事足りるので、ホテル街の裏路地の地理には詳しくない。
たまにすれ違うキャッチのお兄さんの視線を華麗にスルーしつつ、Googleマップが指すその赤いポイントとの距離を徐々に縮めていく。
ここで、ある大事なことに気がついた。彼女に僕の写真を見せていない。そして、彼女の顔も見ていない。だからお互いわからないじゃないか。
また、もしラブホテルが混んでいて待ち合い室でポツンと1人僕が座っていたら、どう思われるだろう。デリヘルを呼んだ若者か、部屋を予約していたが彼女と喧嘩して一人で来たのか。どちらにせよ、同情の目で見られること必至だ。一人の時間を最小限に抑えるため、待ち合わせの時間ぎりぎりにホテルに入ることを心に決めた。
19:28、、、
19:29、、、
19:30!!!
待ち合わせの時間になって、いざ、高鳴る鼓動を抑えつつラブホテルの前に立ち、自動ドアが開いた。
右手には奇麗な薔薇の花が刺してあり、その前にはドリンクが入った透明の冷蔵庫がある。
左手にはすぐ受付があり、その奥に部屋を選択するパネルが並んでいた。
「!!!」
奥の待合室みたいなスぺ―スの一番左のイスに可憐な女性が座っていた。
黒く長い髪は、艶があり先端が軽くカールしている。
こちらに気づいた瞳は黒目が大きく、系統的にはperfumeのかしゆかに似ているなと思った。
僕「あの、、」
まな「どうも、はじめまして。まなです。イメージと違いました?笑」
僕「いや、全然!素敵だなと思って。むしろおれのほうがイメージと違うでしょ?」
まな「全然!さわやかな好青年って感じ。笑」
まなはLINEの文面から想像したとおり、よく微笑む子だった。
おかげで女性慣れしていない僕も、そこまで緊張せず、フランクに接することができたと思う。
フロントで慣れない手続きを済ませた後、501の部屋へ向かった。
部屋につくと、そこでお会計をするシステムで、1泊12000円という値段に驚く僕の表情に気づいたのだろう。彼女は5000円出してくれた。情けないとは分かりつつも、ありがたく受け取る僕。この世においてセックスは、相場が高いものだ。
まな「広い部屋だね!」
僕「だよね。まさか12000の部屋に入るとは思わなかった。笑」
まな「普通一泊したらそのくらいするもんだよ。もっといい部屋は2万とか4万とかするんだから。」
僕「そーなんだ。。世知辛いね。笑」
まな「シャワー先入っていい?」
僕「いいよ」
彼女が浴室にいる間、部屋をぐるっと眺めてみた。大きいダブルベッドに、巨大なスクリーン。世のカップルたちは、週末をここで過ごし、愛を深め合っているのか。愛の維持にはお金がかかるものだ。
今日セックスするのか。何か月ぶりだろう。
正直僕は、セックスについて本能的には好きだけれど、”絶対になくてはならないもの”という認識はない。
なぜなら、その行為を「気持ちいい」とは思わないからだ。
【驚愕】ついに出会えた、LINEのID検索で!?5
【驚愕】ついに出会えた、LINEのID検索で!?5
「経験人数を増やしたいんです。自分に自信が持てなくて。」
僕はこの子に出会ってから常識というものを覆されている。
知らない人からLINEのトークが来て、返信する子がいる。
そしてその人と電話で話して会おうとする気持ちがある。
さらに初回のデート場所をラブホテルと提案してくる。(美人局なら納得)
どうしたことか経験人数を増やしたいらしい。(ナンパ師のやりチンなら納得)
しかし、どう見たってLINEのアイコン画像の後ろ姿は女の子だし、電話で話した声だって可憐な可愛い声だった。
それがなぜ、経験人数につながるのか。
まったく理解できない。
僕「経験人数を増やす?それは美人局だからお金がほしいだけじゃなくて?」
まな「違いますよ笑。美人局じゃないって信じてください笑」
曲がりなりにも21年生きてきて、信じる素直さだけは僕の魅力だと自負していた。
返信速度や冗談ぽい感じも信じてよさそうだ。直感的にそう判断した。
でも、だとしたら何か別の理由が。
僕「じゃあなんで経験人数を増やしたいの?そこらへんのチャラい男ならまだしも、女の子でそういう感じの子初めてで理由を知りたいんだ。」
まな「そうだよね笑。私も自分以外でそんな子見たことない笑。自分に自信が持てなくって。実は元カレに振られたんです。」
僕「そうなんだ。自信がなくて元カレに振られたのか、元カレに振られたから自信がなくなったのか、どっちかわからないけど、なんでそれが経験人数を増やしたいになる?」
まな「元カレを見返したいんです。すごくモテる元カレで、イケメンだし女友達もたくさんいて、たぶん私の他にも何人かキープしてる子いたっぽいし。」
ぼく「そっか、それはつらいね。。」
まな「うん。別れるときもほんとは引き留めてほしかったのに、あっさり”わかった”ってもう次にあてがあったんだと思う。だからもっといい女になって、見返そうって。」
「正直、元カレがほぼ初めての彼氏で愛情のもっていき方というか、コントロールの仕方がよくわかってなくて、重くなっちゃってたんだと思うの。だから女を磨いてもっと魅力的な女性になっていきたいなって。」
思っていたよりもまともな理由というか、ほんとに女心を象徴するような理由で(自分自身は女心わからないけど)変に納得できた。しかもなんだか、アイドルとファンの関係じゃないけど、応援したいなって感情が芽生えてきてる自分に驚いた。
僕「それで経験人数を増やせば、女性として魅力が出ると思ったんだ?」
まな「うん。周りの友達にはとても言えないけどね笑今日はじめて誰かに打ち明けたかも笑。会ってくれる?」
僕「正直美人局はもう疑ってない。そして話を聞いてとてもまなちゃんの存在自体に興味を持ってる自分がいる。だから、一回会ってみたい。」
まな「じゃあよろしくね(*^^*)」
こうして僕たちは”初デート”をすることになった。